※本記事は、筆者の体験と感想をもとに、AI(Claude)の支援を受けて執筆しています。
こんにちは、白々さじきです。
2026年11月6日に、幕張メッセで開催された「AI World 2026 秋 東京」に行ってきました。AIを使った業務効率化のツールやサービスが集まる展示会です。
いくつかのブースで話を聞いて、AI機能付きのツールを選ぶときと、自分でSaaSを作るときに気を付けたいことが見えてきました。今回は、その感想をまとめたいと思います。
この記事で解決すること
- AIチャット機能付きツールの「中身」と、データの扱いで確認すべき点がわかる
- 「OpenAIのAPIだから学習に使われません」という説明を、どこまで信じていいかがわかる
- SaaSを作るときに、ユーザー属性ごとに機能や画面を絞る理由がわかる
結論
AIチャット機能付きのツールは、中身がOpenAIなどの外部APIであることが多いです。「APIだから学習に使われない」はデフォルトの方針としては合っていますが、それだけでは安全と判断できません。ツール提供会社のデータの扱いを、契約や規約で確認するのが大事だと感じました。
また、SaaSを作るなら、ユーザー属性ごとに機能や画面を絞るかどうかを、要件定義やプロダクトの方針を決める段階で考えておきたいです。
参加したイベント
- 名称:AI World 2026 秋 東京
- 会期:2026年11月4日(水)〜6日(金)※私は最終日の6日に参加
- 会場:幕張メッセ(1〜3ホール)
- 参加費:無料(事前登録制)
AI Worldは、AI業務改革、AI開発技術、AI人材育成、AIセキュリティ・ガバナンスの4つの展示で構成されていました。同じ1〜3ホールで、DX総合EXPOとビジネスイノベーション Japan(BIJ)も同時に開催されていました。詳しくはAI World 2026 秋 東京の公式サイトを見てください。

会場には展示ブースのほかに、特別講演やセミナー、ワークショップのスペースもありました。


AIチャット機能の中身はOpenAIのAPIだった
いくつかのブースでAIチャット機能の説明を聞くと、中身はOpenAIが提供するAPIを使っている、というツールが複数ありました。
APIを使うこと自体は、悪いことではないと思います。大規模言語モデルを自社でゼロから作るのは、多くの会社にとって現実的ではありません。外部のAPIを組み込むのは自然な選択です。
気になったのは、データの扱いについての説明でした。ある営業の方は、「OpenAIのAPIを使っているので、入力した情報は学習に使われない」という趣旨の説明をしていました。
聞いたときは、「そういう契約を結んでいないとダメなはずなので、正確な説明ではないのでは?」と思いました。
OpenAIの公式ドキュメントで確認してみた
記事を書くにあたって、OpenAIの公式ドキュメントを確認しました。執筆時点(2026年11月)の内容をまとめると、次のとおりです。
- APIに送ったデータは、2023年3月1日以降、モデルの学習に使われない(利用者が明示的にオプトインした場合を除く)
- ただし、不正利用の監視のため、プロンプトや応答を含むログがデフォルトで最大30日間保存される(機能によっては、もっと長く保存されるデータもある)
- このログの保存を外す設定(Zero Data Retentionなど)は、OpenAIの事前承認が必要
参考:Data controls in the OpenAI platform(OpenAI公式ドキュメント)
学習については、特別な契約がなくてもデフォルトで使われない方針でした。営業の方の説明は、OpenAIの方針としては合っていたことになります。
一方で、「学習されない」と「保存されない」は別の話です。ログはデフォルトで保存されますし、保存まで外すにはOpenAIの承認が必要です。
それでも「APIだから大丈夫」とは言い切れない
とはいえ、この説明だけでツールを選ぶのは危ないと感じました。理由は2つです。
- OpenAIの方針は、ツール提供会社とOpenAIの間の話です。多くの場合、ツールを使う自分たちはOpenAIと直接契約していません。ツール提供会社が学習へのデータ共有をオプトインしていないか、どの保存設定で使っているかは、外からは見えません。
- ツール提供会社自身も、入力データやログを保存していることがあります。どこに、どのくらいの期間保存して、何に使うのかは、ツール提供会社の利用規約や契約で決まります。
つまり、確認すべきなのは「OpenAIの方針」だけではありません。「ツール提供会社と自分たちの契約に、データの扱いがどう書いてあるか」です。最初に思った「契約が必要」という感覚は、OpenAIとの契約ではなく、ツール提供会社との契約に当てはまる話でした。
データが海外で処理・保存される点も要注意
もう1つ見落としやすいのが、データを処理・保存する場所です。
OpenAIのAPIには、日本を保存先に指定する仕組み(データレジデンシー)もあります。ただ、使うにはOpenAIの承認などの条件があります。さらに執筆時点では、日本を指定しても処理(AIが回答を作る部分)は日本国内に対応しておらず、国外で処理・一時保存されることがあると書かれています。先ほどのログも含めて、一時的とはいえ、データが海外に置かれる可能性があるということです。
企業によっては、取引先との契約や社内規程で、データを海外に持ち出すことを禁止している場合があります。そうした企業では、「学習に使われるかどうか」以前に、海外にデータが送られる時点で使えない可能性があります。
なお、Microsoft Azureなどのクラウド経由でOpenAIのモデルを使う場合は、日本国内で処理される構成を選べることもあります。ただし構成によっては海外で処理されるので、どこで処理・保存されるのかは、ツール提供会社に確認したいところです。
参考:Understanding deployment types in Microsoft Foundry Models(Microsoft Learn)
個人情報を扱うなら、なおさら確認が必要
個人情報を入力する可能性があるなら、確認はさらに大事になります。入力したデータが回答の生成以外(学習など)に使われないか、どこで処理・保存されるかを確認しておかないと、法令や社内ルールに違反するおそれがあります。
業務で個人情報を扱うツールを選ぶときは、社内の法務や情報システム部門にも確認してください。
AI機能付きツールを選ぶときに確認したいこと
次に展示会や商談で説明を聞くときは、次の点を確認しようと思います。
- AI機能は自社開発のモデルか、外部のAPI(OpenAIなど)か
- 外部APIなら、OpenAIと直接か、クラウド事業者(Microsoft Azureなど)経由か。経由先によって、適用される規約やデータの保存場所が変わる
- 入力したデータを学習に使わないことが、利用規約や契約書に書かれているか
- 入力データやログは、どこに・どのくらいの期間保存されるか(国内か海外か)
- ツール提供会社自身が、入力データを製品の改善などに使うことはあるか
- 個人情報の入力を防ぐ仕組み(入力制限、マスキング、管理者による設定など)があるか
口頭で「大丈夫です」と言われたら、資料や規約のどこに書いてあるかまで聞いておくと安心です。社内で導入を説明するときの根拠にもなります。
ユーザー属性で機能や画面を絞るという話
あるブースでは、ツールを使う人の属性に合わせて、使える機能や画面を絞ったほうがいいという話を聞きました。そのほうが使いやすく、属人化の防止にもつながるそうです。
実際、その製品はUIがシンプルで、できることだけに絞られていました。話を聞いて、なるほどなと思いました。
自分なりに理由を整理すると、次の2つだと思います。
- 全員に全部の機能を見せると、どれを使えばいいか迷う人が出る。役割に必要な機能だけなら迷わない
- 使い方が人によってバラバラだと、その人しかわからない運用が生まれる。機能と画面を絞れば、誰が使っても同じ手順になりやすい
SaaSを作る側として考えたいこと
自分がSaaSを作る側に回ったときも、ここは考えておく必要があると改めて思いました。
とはいえ、ロール(権限)の細かい設計を最初から作り込む必要はないと思っています。大事なのは、要件定義やプロダクトの方針を決める段階で、どうするかを判断しておくことです。具体的には、次のようなことです。
- 誰が使うのか(役割、部署、ITへの慣れ)を洗い出す
- ユーザー属性で機能や画面を出し分けるか、出し分けるならどの単位にするかを決める
- AI機能も同じく、誰が使えるか、何を入力できるかを決めておく
- 絞りすぎると慣れた人には不便なので、あとから見直せる余地を残しておく
まとめ
- AIチャット機能付きのツールは、中身がOpenAIなどの外部APIであることが多い
- 「APIだから学習に使われない」は、OpenAIのデフォルトの方針としては合っている。ただし、ログは一定期間保存される
- OpenAIのAPIでは、データが海外で処理・保存されることがある。契約で海外へのデータ持ち出しを禁止している企業では、そもそも使えない可能性がある
- 大事なのは、ツール提供会社と自分たちの契約や規約に、データの扱いがどう書いてあるか
- SaaSを作るなら、ユーザー属性ごとに機能や画面を出し分けるかを、要件定義やプロダクトの方針を決める段階で判断しておく
次にAI機能付きのツールを選ぶときは、今回のチェックリストで確認してみます。SaaSの要件定義をするときも、ユーザー属性で出し分けるかどうかを、方針を決める段階で考えるようにしたいと思います。
※OpenAIのデータの扱いは、執筆時点(2026年11月)の公式ドキュメントをもとにしています。方針やページの内容は変わる可能性があるので、導入を検討するときは最新の情報を確認してください。

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