「何を直すか」もClaudeに任せる ── GitHub Issues 起点の委任フロー
こんにちは、白々さじきです。
Claude Code への完全委任開発を検証しているこのプロジェクト。今回は「何を直すか」という選定そのものを Claude Code に任せた話です。
これまでは「◯◯を実装して」「△△を修正して」と具体的な指示を渡していました。でも、ある日こう試してみました。
「バグのラベルのついたIssueを確認して、取り組みやすそうなものを選んで」
これが思いのほかうまく機能したので、そのフローと気づきをまとめます。
委任フローの全体像
通常の委任フローでは、人間が「何をやるか」を決めてから Claude Code に渡します。今回試したのは、その「何をやるか」の部分まで含めた委任です。
【従来の委任フロー】 人間:何をやるか決定 → 指示を渡す → Claude Code:実装 【今回の委任フロー】 人間:方向性だけ指示 ↓ Claude Code:Issues 一覧を確認 ↓ Claude Code:バグ選定(候補を提示) ↓ 人間:承認 ← ここだけ人間が判断 ↓ Claude Code:修正方針を計画立案 ↓ 人間:承認 ↓ Claude Code:実装
人間がやることは「バグIssueを見て」という方向性の指示と、2回の承認だけです。選定・計画・実装はすべて Claude Code が担います。
実際のプロンプト例
セッションの冒頭にこう入力しました。
バグのラベルのついたIssueを確認して
Claude Code は gh issue list --label bug を実行し、一覧を取得してくれました。
#14 「トップに戻る」リンクが遷移元に関わらず常に / に戻る bug
オープン中のバグIssueはこれ1件でした。Claude Code はそのまま「この Issue #14 に取り組みますか?」と提案してきました。
Issue の内容は:
- 利用規約・プライバシーポリシー・FAQの「← トップに戻る」リンクが常に
/に飛ぶ - 再現手順・期待する動作・実際の動作が明確に書かれている
Claude Code はこの情報を読んだうえで、「修正方針を先に立案してもよいですか」と確認してきました。承認すると、計画を提示し、再度承認を得てから実装に移りました。
人間がやったのは「バグのラベルのついたIssueを確認して」という1文と、2回の「はい」だけです。
Issue の質が委任の精度を決める
Claude Code への委任というと、「仕様を渡して実装させる」というイメージが一般的です。「ボタンを追加して」「APIを修正して」といった具合に、何をするかは人間が決めます。
今回気づいたのは、「何をやるか」の選定自体も委任できるということです。
ただし、これが機能するには前提条件があります。
Issues が整備されていること。
今回うまくいったのは、Issue #14 に以下がきちんと書かれていたからです。
- タスクの概要
- 再現手順
- 期待する動作
- 実際の動作
- 完了条件
これがなければ Claude Code は「何が問題なのか」「どこを直せばいいか」を把握できません。Issueの質が委任の精度に直結します。
教訓①:Issues の粒度・ラベル整備が委任品質に直結する
ラベルがなければ絞り込みができません。再現手順がなければ判断材料が不足します。「いい Issue を書く」ことは、人間への説明だけでなく、Claude Code への発注精度にも影響します。
承認ポイントを守る重要性
このプロジェクトの CLAUDE.md には「大きな変更は必ず計画を先に提示し、承認後に実装すること」と書いてあります。
今回のフローはこれが自然に機能した実例でした。
Claude Code は勝手に実装を始めませんでした。Issue の確認 → 選定提案 → 計画立案 → 承認確認 → 実装、という順序を守ってくれました。
委任しても「何をやるか」の承認だけは人間が握る。これは意識的に設計した順序です。もし承認なしで進んでいたら、想定外のファイルが書き換えられていたかもしれません。
教訓②:委任しても「選定の承認」だけは人間が握る
「全部任せた」と「承認だけは自分が判断する」は両立します。むしろ承認ポイントを明示的に設けることが、委任を安全に機能させる鍵です。
この記事で修正したバグの顛末
Issue #14 の修正は、想定より大きくなりました。
「← トップに戻る」を遷移元に応じて変えるだけに見えましたが、実装を進めると4つの設計判断が連鎖しました。document.referrer vs location.state の選択、フッターリンクの <a> から <Link> への統一、行き止まりページのフッター削除、そして App.tsx から各ページへのフッター分散。
詳細は別記事(「戻るリンクを直すだけのつもりが、SPA設計を4回見直すことになった話」)に書きました。
ここで触れておきたいのは、Issues 起点で始めたからこそ、問題の背景を把握した状態で作業できたという点です。
Issue に「管理ページから来た場合は管理ページに戻る」という期待動作が書かれていたため、Claude Code は「この修正が単なるリンク差し替えではなく、遷移元の文脈を保持する設計の問題だ」と最初から認識していました。
Issueなしで「戻るリンクがおかしい」とだけ伝えていたら、表層的な修正で終わっていた可能性があります。
教訓③:GitHub Issues に再現手順・期待動作が書いてあると、委任の精度が上がる
まとめ
今回学んだことを3つにまとめます。
| # | 教訓 |
|---|---|
| ① | Issues の粒度・ラベル整備が委任品質に直結する |
| ② | 委任しても「選定の承認」だけは人間が握る |
| ③ | GitHub Issues に再現手順・期待動作が書いてあると、委任の精度が上がる |
「何を直すか」まで委任できる、というのは発注スキルの拡張です。仕様の渡し方を磨くだけでなく、「どこまでを委任の範囲に含めるか」を試行錯誤することが、Claude Code との協働を上手くする近道だと感じています。
委任範囲を少しずつ広げながら、どこで人間の判断が必要かを探っていく。それ自体が発注スキルの鍛錬になります。
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